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二律背反(ダブルスタンダード)

一寸以前ブログに「士農工商 印刷屋」と自らの業界を揶揄して書いた事が有ったが、それ程、この業界は厳しく、競争に曝されている。

省資源の時代要請に依り、ペーパーレス化が進み媒体の多様化の進歩は印刷物自体のボリュームが落ちている。

このブログも然り、コンピューターでデータをUPすれば、日本中、いや世界中の人までも伝達出来る。

ルネッサンスの三大発明と言われて、活字印刷も

石板印刷 → オフセット印刷 → デジタルプリンター

と変遷を経て、今や印刷(アナログ生産方法)は無くなる事はないが、TPPで揺れている酪農家みたいで、一生懸命に努力しても、時代には勝てないかもしれない。

 

20世紀の時代には「水と空気以外、刷れないものは無い」(※近頃は空気中にも水蒸気をカーテンの様にスクリーンにして、そこにレーザー光を当てて演出する方法も有る)と言われた程、多種多様の分野に仕事が有り、行政の関与を必要としない業界であった。

 

 

昨年末、民主党政権から自民、公明連立になり、安倍総理が登場し、異次元の金融緩和施策がとられ、インフレ目標を定め、消費税が明年8%に税率が上がる。

価格が上がり、企業収益を向上させ、賃金を上げ、消費を喚起し、「強い日本」を目指す方向を決め、日本が動き始めている。

 

先程書いた様に、業界は厳しい時代を生きている為、今までは行政の指導を必要としていなかったが、官公需に於いても、物品購入から請負契約に最低価格の設定などを求めている。

規制緩和を時代の流れとして捕らえている社会に対し、規制を求める。

 

 

私達は全国印刷工業組合員として、業界団体を作り、一昔風に言えば、

「共存共栄」

「業界の発展の為」

「社会貢献」

を旗印に組合員としての活動を行っている。

この組合の事務局から

「印刷用紙値上げ阻止の要望書」

たる文章が流れて来ていた。

用紙値上げは命取りになるので、製紙メーカーに反対を表明するのだ。

 

政府の方針は物価の上昇である。

これは国の方針である値上げに反対する。

国の方針に反対する。

業界人の立場から言えば、印刷物価格が値上がらないのに、仕入れが上がる事はますます収益を圧迫する。

従って原材料の値上げ反対は当然であるが、国の方針とは違ってくる。

公平無私が正しければ、これは正しく二律背反であろう。

 

 

近頃ブラック企業として名指しされる企業が多いが、穿った見方をすると、デフレ社会の勝ち組企業が多い様な気がするのは僕だけだろうか?

 

 

 

     記 ダボ・イトウ

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