僕の手元に一冊の文春文庫ビジュアル版「B級グルメ」という本が有る。
この本の前身は「東京たべもの探検」であったと思う。
今でこそ「B級グルメ」と言う言葉を目にするが(近頃はこの「B級グルメ」と言う言葉は商標が取られていて使用が難しくなっているので「B級グランプリ」と言う名前がよく使われている)、この本が発刊(初版)されたのは1986年(東京たべもの探検は1984年)で、既に31年の歳月が流れている。
当時、僕は30才を少し過ぎた頃で、この本が『キッカケ』で味の探訪が趣味となった。
B級グルメの語源は、「味はA級、値段はB級」から来た下手味の世界である。
決して高級な品を求めたのではない。
こんな事から、安くて美味しい品を、地方から取り寄せて「クレヨンキンちゃん」(http://www.daiichi-printing.com/blog/07/4183/)の性格で、身近な友達に紹介していた。
その頃は今のインターネットの情報とは全く違い、情報は全て紙媒体からしか求められなかったので、色々と雑誌や本で調べて、直接メーカーに電話(ネットではない)をして送ってもらったりしていた。
この頃から「産直」と言う言葉や、「通販」が物販の表舞台に飛び出して来た。
その頃、頻繁に取り寄せてみた品を思い出してみた。
「石巻のI水産の鯨。久慈市のO尻魚店のウニ。青森Kのはちみつリンゴ酢。江別市のJ屋食品の昆布。気仙沼のH食品のフカヒレスープ。」
など、色々とある。
先般のテレビで「B級グランプリ」の優勝として「黒石つゆやきそば」が紹介されていた。
この黒石やきそばも黒石市のS福製麺から取り寄せていた。
極太麺とリンゴソースの味がとても気に入って、何年も、その昔買っていた。
それなのに、グランプリに輝いた「黒石つゆやきそば」なんて初めて聞いたし、初めて知った。
時代は流れる事に依って、発明や発見と進歩をしてゆくが、風習や料理方法までが変化する。
(昔の廓の技が一般家庭に入って来ている!)
全国の珍しい品と言う『珍しさ』が当たり前の時代となり、珍味、珍品が、オキアミやミドリムシとなりつつある時代になって来た。(ゲェ!)
前回のブログ「相反」あいはん(http://www.daiichi-printing.com/blog/08/4254/)ではないが、世の中なかなかバランスが取れない。
紙媒体は急激に、電子媒体に取って代わっている時代、やはり紙は軽い。
でも考えようによっては電子よりも重たい・・・?
印刷業界は味のB級グルメと同じく、「値段はB級だが、情報はA級」を求められているので、全国のユーザーに我が社を売り込んでゆこう!
「B級印刷」
なんて言葉は、色ムラがあり誤字がありシャープさが無く聞こえるなぁ。
そうだ!
『B級美術品』
と呼ぼう!
記 ダボ・イトウ