週末の金曜日、ある会合が有って、新しく出来て3ヶ月程のお店に行った。
創作和食と名付けられて、出された料理は凄く美味しかった。
最初に出た、うまづらはぎの肝付刺身は絶品であったし、生クリームを入れてブラックペッパーを少し落として作ってあったカキの茶碗蒸しは、初めて体験した味で感動した。
このお店は3ヶ月前に出来たと言ったが、その前は、静岡でも有名な老舗の居酒屋であった。
大衆酒場の名にふさわしく、5時頃になると自転車に乗って職人のおじさん達が集る酒場であった。
中央に置かれた大きなテーブルでは、知らない者同志が会話をし、酒を酌み交わし、本当に安い価格で繁栄していたお店であった。
跡取り問題や相続の問題とかで廃業してしまったので、この新しい店になった。
現代風で洒落た内装、感じの良い器、スタッフの衣装と、正しく前のお店の雰囲気とは正反対の店となった。
自分の机の後ろの書庫に『守貞漫稿』と言う江戸時代の風物を描いた本が有る。
江戸時代の風習、商売、服装、住居、職業と、あらゆる分野の記録をしたイラスト本で有名である。
職業では、今の若い人では知らない、全く無くなってしまった職業も載っている。
暦売りや、灰買い、そろばん直しなどはなんとなく解るが、羅宇屋(らうや)や輪替(わかえ)となると全く想像し難い。
前者は煙管の商売、後者は桶樽等の修理屋。
全く今では何の事か解らない商売である。
大衆酒場と呼ばれ、大きなテーブルに知らない者同志が話をする酒場は消え、個室作りと言った店作りが流行る。
この昔あった店と同じ様なスタイルの店が近くに一軒残っている。
○○バーと言う店で、何だか昔は変な名前があると思っていたが、今日(こんにち)は繁栄店である。
ここ数年、売上が10%程度毎年伸びていると言う。
何が廃れて、何が残るか解らない。
仕事は絶滅業種にならない事だけが必要だ。
記 ダボ・イトウ
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