昭和の大歌手であった美空ひばりさんが亡くなって30年が過ぎている。
昨年の大晦日のNHK紅白歌合戦で、コンピュータテクノロジーを駆使し、新曲を歌う美空ひばりさんの姿が放映された。正しく昔の姿が今に甦えったのである。
リニア新幹線の静岡通過ルートは、調整が色々と合致しない。
大井川は止水が南アルプスの二軒小屋の上の慣合上流から始まり、赤石ダム・畑薙第一ダム・第二ダム・井川ダムから下流まで、16の発電所・30のダムがあると言われる。井川ダム(昭和32年完成)ができて下流部のアマゴ釣りの良場は失われ、「鉄砲流し」という材木の川を使った運搬手段も消えた。
消えた釣り場の原因は、水の流れが導入管を通って川に戻らんからである。下流部の住民達の「水返せ運動」は、必要な生活資源であって重要な問題である。
前述の甦る「美空ひばり」ではないので、失われた環境(水)は元に戻ってこない。
毎年2月の第3月曜日に安倍・藁科漁場の鑑札配布がある。(組合員6,000円)
昨年は台風の影響や河川工事もあって、安倍本流で釣りができる休日は数日しかなかった。
大井川も昭和50年代前半では、奥泉ダムの下流・接岨峡・閑蔵や梅地辺りの本流で尺物を狙えるポイントは数多くあった。
安倍・藁科川でも、仕事前に一寸釣ってくるなんていう事も出来たが、今では考えられない。
美空ひばりさんのコンピュータでの新曲発表は、現代の最高技術を使い「歌声」・「3Dの再現」と驚くばかりであった。しかし、今一つピンと来なかった。
川も然り、魚影の復活は放流すれば何とか釣りはできる。しかし、水が豊富に流れ、ポイントを絞ることが釣果につなる、釣りの面白さは出ない。
今年の僕の鑑札の番号は385番である。名簿順位もだんだん上位になって、組合員の数も変化している。川の状況もそれ以上に非常に変化している。
一度壊れた環境は元に戻らない。しかし高速交通網の整備は文明という事に於いては必要だろう。釣人は来なくなり「囮オトリ」屋は無くなる。藁科川の下流部の羽鳥にもあったオトリ屋は今では考えられない遠い思い出だ。失ったものは元に戻る様で戻らない。釣りを楽しまない人は川の状況は気にならない。
鯨の捕鯨は再開したが、和歌山県の太地町に行ったとき、太地町の人が言った言葉が忘れられない。
「ここには鯨以外何も無いわよ!!」
羽鳥の囮屋が残っている環境を残したかった!!あの頃は良かった!!
記 ダボ・イトウ