「印刷は文化のバロメーター」
と、つい最近までは言われていた。
確かに文化の発達と共に、印刷と言う仕事は成長して来た。
江戸の昔は、テレビや映画のシーンの様に、台の上に立ち、手拭を頭に乗せ、竹の棒で、
「さあ〜さあ〜かわら版だよ!!」
とか言って情報を提供した。
当然、木版刷りで、文字を版木に削り込んだ凹凸で刷り上げる手法であった。
それが、文明開化と言われる明治時代に入ると、欧米から活字印刷機が導入され、部数の増大と共に輪転機で一般家庭に新聞が配達される時代へと変化し、
イラストから写真を表現する事に進化して、カラー化として当たり前の様な現在になった。
印刷業界が、「水と空気以外、何にでも刷れる」と、1970年代に豪語していたが、
空気に印刷も、今では不可能ではない。
空気中に水のシャワーカーテンの様な壁を作り、そこに色付きレーザー光線を当てて表現する方法は、コストが許す限り出来るし、
水に対しても薄い被膜を浮かべる方法がある。
これは手作りのマキアートをゼラチン等に印刷しておき、カップに浮かべる方法としても出来上がっている。
しかし、この文化のバロメーターに、時代の変化の流れが追い越してゆく。
この空気と水の印刷を手掛けている人々は、元々の印刷会社の人達ではなく、新しい分野から参入した人達である。
成長する産業もあれば、衰退してしまう仕事もある。
先週末に、七間町にある「パスタ1丁目」に娘達と行った。
ここのパスタは旨い。
特にウニ納豆が好きだ。
4〜5切れのタクアンが付いている絶妙な取り合わせが見事。
そしたら、今月一杯で閉店の貼紙がしてあった。
郊外店に営業の方向をシフトさせる様だ。
閉店で客入りはすごく多く、少し待っていた。
待っている間に、置いてあった無料雑誌「BARATEE」を手に取った。
この雑誌はゴルフの記事などよく載っているので、時折手にする。
この「BARATEE」もこの号で廃刊するそうだ。
先日「文化」(http://www.daiichi-printing.com/blog/04/2412/)と言うタイトルで、渡辺書店の閉店の話を書いた。
時代の流れと共に興廃が進む。
いつの時代に於いてもこの試練からは逃れられない。
印刷業界もデジタル化の波が急激に進み、オフセット印刷とデジタルプリントの差が無くなっている。
しかし、先日、県の企業担当の人に聞いた話によると、金型メーカーはすごく忙しいそうだ。
「金型と言えば、中国に行ってしまったのでは?」
と聞いた処、国内の会社が無くなってしまったが、今、仕事が中国から日本に戻って来ていると言う話で、
(価格ではなく、精度とか、修理の時間のため)
金型メーカーを製造現場が奪い合うと言う状況との話であった。
何が生き残るか、結果しか解らない。
何時も僕が言っている「羅宇屋」って知ってます?
江戸時代には必要とされた職業です。
今では、誰も必要としていない。
変化出来る仕事をしよう!
記 ダボ・イトウ