私達、印刷業者は常に競争にさらされていて、価格競争が激しい。
官公庁での入札に参加すると、落札価格と高値では倍近い入札になるのが普通である。
立場は各社それぞれで、企業の規模や、生産性、社長の力量等に依って、価格が変化するのは当たり前であるが、入札に参加しに行くと、駐車場料金は掛かるし、営業マンの人件費も何時間も費やす。
各部門に於いて、相談を受けたり、準備や仕込みをしてある仕事も、他社の落札に依って水泡と帰す。
業界では「士・農・工・商・印刷屋」と揶揄して自嘲する程、厳しい業界である。
先日もある大きな入札(印刷会社で500万以上と言えばかなりでかい仕事)があって、昨年度価格を検討して参加した。
どうしても昨年の価格並で出来ないかと、最低限の提出をする。
然しながら、残念な事に頑張って提出した金額は、丁度真ん中の価格であった。
勝負にもならない。
せめて、3番札ぐらいなら今後の検討の余地もあるが、7番札くらいでは永久に勝てない。
前年度落札した業者が、今回参加していないのは何故だろうと調べてみたら、倒産していた。
仕事を受注しても倒産してしまう。
受注出来なければ売上は0だ。
本当に厳しい業界である。
印刷業界は監督官庁に縛られない。
今日印刷屋を始めても「どうぞ」
廃業しても「どうぞ」となる。
おでん屋さんは保健所の許可がなければ営業出来ないが、印刷営業は自由である。
規制緩和が成長の鍵と言われるが、その反対に弱者は落ちる。
規制を強めれば、閉鎖的な談合の業界になる。
どちらが正しいかは、その立場に依って異なる。
TPPの問題、医薬品のネット販売、タクシー運賃と種々のテーマがある。
それについての国民の判断(参院選挙)が間近にある。
利益の代弁者を選ぶか?
社会のマジョリティー意見に賛成するか?
自己の精神が問われる。
一票を大切にしましょう。
それにしても価格競争は厳しい。
記 ダボ・イトウ