10年程前にK進堂と言う鍼灸医院が会社の近くに有った。ギックリ腰で何回かお世話になった事がある。痛くて動きがとれなくて、治療院のベッドに登る事も難儀な身体が、先生の施術(鍼)を施してもらうと帰りにはベッドから普通通りに降りられ、その技術に驚いた。先生は全盲であったが、その研ぎ澄まされた技術は卓越していた。しかし残念な事に数年前、急逝して治療院は閉院となった。
静岡駅から東へ10分ほど歩いた処にA治療院が有る。昔からの知り合いで、素敵な女性である。彼女は取引先の事務職であったが、若くしてこの道に転進した。非常に真面目な方で治療に熱心な方である。彼女の技術も他所では受けられないほどの丁寧な施術をしてくれる。彼女は老人ホームのボランティアを20年以上続けていて、先日はその活動が認められ表彰を受けた。
30年程前、一時期「カイロプラクティック」が大流行した。アメリカから伝えられた腰痛改善施術としてダボも何回か受けた事がある。
施術の方法として、当時はドライアイスを使ったり、木のブロックの使用など、古典的な鍼灸とは違って珍しかった。この当時は全面的な営業が認められていなく、国家試験との隙間的な存在でまだ街中にはなく、郊外に行って施術してもらった覚えがある。
この当時はマッサージ・鍼・灸は障がい者救済事業として免許制度として守られていた。温泉地のマッサージだって、地域限定の免許が必要だった。
その後、段々と一般人の行うマッサージが街中に出来始めて、社会に認知される様になり、総務省・経産省の職業分類の中にリラクゼーションも登録されたような話を聞く。
街中にリラクゼーションの看板が増えるに従って救済事業としての免許取得者の仕事が段々と無くなって、街中で家賃を支払っての鍼灸は成り立たなくなってしまった。
この後、免許取得者は介護マッサージにその職を求めた。介護マッサージには資格者のみが対応出来るからである。
しかし世の中は恐ろしい。この介護マッサージに職を求めた障がい者の人達は、訪問すると言う事に時間も掛かるし、訪問先を個人で探すのも大変である。よって有資格者は介護サービス事業所に登録して、そこから派遣という形になった。これで仕事のある時は時給、無い時は無給となり、街中のリラクゼーションアルバイトよりも収入が低いとの話を聞いた事がある。規制ばかりが先行すると融通の利かない社会になるし、規制をゆるめると弱者が強者の食いものにされる。塩梅よくゆかない。
正に!悪貨は良貨を駆逐する!!
記 ダボ・イトウ