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慮る

「慮る」と書いて(おもんぱかる)と読む。

広辞苑で引いてみると、「思いをめぐらす」と言う意味が書いてある。

思慮、配慮、遠慮と言う。

漢字にすると意味が解ってくる。

相手に対する気持ちの表れと解釈すれば良い。

 

髪の毛は薄くなってきた。

若い頃は、毛の太さも太く、フサフサしていて、とても自分の後頭部が涼しくなるとは想像していなかった。

それでも襟足が気持ち悪くて床屋さんに行った。

もう何十年も通っている常連店である。

主人一人、理髪席が一つの小さな床屋で、お客が一人先に居た。

待ち合いの椅子に腰掛けたら、主人が目の前のTVのスイッチを入れてくれた。

何時もなら30分も待てば自分の番になる。

30分経っても先客が終わらないので、一寸覗いてみたら、頭にカバーを掛けて、何だかもっと時間が掛かる様子だ。

「そ〜なんだ。それで主人は待たせるのでTVのスイッチを入れてくれたんだ!!」と理解した。

然しながら、

「頭に来た!」

何で最初から「30分以上お待たせします」と言わないのだろう。

言ってくれれば他の用事を済ませてきたのに!

と思って「又来るよ」

と言って店を出た。

(昔、遊郭での客は「又来るよ」と言い、女郎は「又来てね」と言う・・・本心ではない)

 

主人は待たせる事を悪く思い、TVのスイッチを付けてくれたが、何故一声なかったか?

その後、行った事のない近所の低価格の床屋へ行って、驚いた事が数多くあった。

 

低価格と言えば、簡単な調髪だと思っていたが、ハサミの使い方が凄く上手で、バリカンなど使わない。

(常連店はバリカンを最初使う。)

客はひっきりなしに入って来る。

(年配者が多い)

技術者は3人で(内一人は女性)、スムーズな回転で無駄が無い。

非常に満足した。

これでは理容師組合の価格で、客待ちの処は厳しいだろう。

でも、少ない労力で成り立てば効率的であるが、水と価格は低い方に流れる。

 

調髪が終わって帰る時、料金2,000円を払うつもりでお金を出したら、

「お客様はシニアですね。

シニア料金1750円で結構です。」

と言われた。

一瞬安くて喜んだが、免許書を出さずして60才以上と解ってしまう髪の毛の少なさに寂しさを感じた。

肌の艶や、シワの数で判断されたのでは、もっと寂しい。

 

 

     記 ダボ・イトウ

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