静岡県ではリニア新幹線の工事が及ぼす水問題で揺れている。南アルプスを貫通させるトンネルの湧水処理が大井川本流に戻らず、下流地域経済に影響が出ると言う事で、利害が衝突している。このリニア工事の前哨基地である、旧井川村は昭和32年に井川五郎ダムが出来て、旧村落は湖に沈み居住地は高台に移転した。このダム湖に井川大橋が架かっていて対岸の数件の家には車で渡ることが出来る。
この橋を渡り切った橋の袂にポストが有る。このポストに新聞が届けられる。静岡新聞は朝夕セットである。(数か月前 値上げしたので、部数が減ったとの噂である。)
しかし井川は遠いので、夕刊は翌日の朝刊と共に配達される(朝夕刊セットとはこの事か!!)。街中での配達とはリニア新幹線と鈍行列車ほどの違いが生ずる。新聞印刷は輪転機と言うハイスピードで印刷が出来る巻取紙で刷る。弊社の印刷機は一枚一枚カットされた紙を印刷する、いわゆる枚葉機である。スピードは新聞印刷は 120,000~150,000部/時回転、枚葉印刷機は 8,000~13,000枚/時回転がフルスピードである。これはリニア新幹線と鈍行各駅停車ほどの差が有る。
とても速さと言う事では、枚葉印刷機は輪転機とは勝負にならない。
7月28日 PM2:15 臨時ニュースで安倍首相の退陣と言う速報が流れた。5時からの会見で本人から辞任会見が始まった。今や速報はスマートフォンで知れわたり、PM3:00頃には会社の全員が知っていた。この日の夕刊には、この記事は間に合わなかった。
今やネット配信に紙媒体はスピードでは敵わない。新聞より格段に遅い枚葉印刷はリニア新幹線と牛馬の様な関係である。
でも競馬競技に馬が居なくては成立しないし、ミルクを生み出す乳牛の代わりは、デジタルでは作れない。農耕牛馬は不要となったが、必要な所には いつまでも必要だ。
デジタルは消えがちだが、紙面は捨てない限り残る。
枚葉印刷会社も、必要とされる用途開発が今 問われているのだ!
号外と言う紙を求める人が大勢いて、配った紙が瞬時に無くなったと言う事も、枚葉印刷会社も、生き残りの何かヒントになるだろう!
「男は早いのが良いばかりではない」と彼の人が言った。
記 ダボ・イトウ